カレイドスコピック 2017年

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この作品を発表したギャャラリーは大きなガラス窓を持っていた。その窓越しに苔で覆われた美しい中庭が見える。このセットに入り込める作品はできないものかと考えたことが出 発点。ポリエステルオーガンジーを70m用いた。これだけの分量を染めるには、もちろんデジタルプリントの力を借りる。昇華転写という手法を用いることで、裏も表も均質な模 様画面が得られる。できた巨大な布を二層のレイヤーにして展示する。モアレや色の濃淡を楽しむ。透けるカーテンのような作品を透して、苔の中庭の景色が作品の一部になる。 外光を遮断するホワイトキューブのギャラリーでは実現できなかっただろう。染織作品の日光による退色が時に問題視されるが、私はあまり気にしていない。そこに神経質になる あまり、染織が使われる豊かな現場を失うことの方が悲しい。当初の作品は某氏の自宅のカーテンとなり、今回の展示は、再度制作したものである。データさえあれば再現できる オンデマンドコマース。それも大事だと思っている。

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H300×W1000 cm(布・可変) 
ポリエステル布/染料によるデジタル昇華転写 (作家蔵) 

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