水のトンネル 1992年

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染・清流展への初出品。ちょうど30年前になる。厳密に言えば、染料も染色技法も使っていないので染色作品ではない。しかしこの頃、表現する手段として「間接技法」という あり方が気に入っていた。描きたいものを自由に描くのではなく、「型」や「版」を使うことで表現を間接的にする。それによって生々しい作者の主張が緩和すると感じていた。 また、「型」や「版」は量産にもつながる概念で、この点では染色に近いと言えるかもしれない。ベースの楮紙(こうぞがみ)に合う色料として顔料を使い、モノタイプやコラージュという手法も用いた。画面を構成するのは代表的な古典文様の一つ「⻘海波」である。色や形によるクラシックな模様の世界観を「型」や「版」で実現することを目標にした。 幼児を横に置き、制作時間を捻出していた頃、作家としてのエポックとなった作品。この作品「水のトンネル」は一作目で、その後、二作目の「いつも水に包まれる」、三作目の 「水を呼ぶ」とシリーズ化し、全体として四曲三双屏風となった。後の二双は国立国際美術館に収蔵されている。

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H180×W240 cm×2 点(四曲一双屏風) 
楮紙、顔料、金箔/モノタイプ、コラージュ、フロッタージュ、ドローイング、箔押しなどの混合技法 (染・清流館蔵) 

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