空間に在るもの 1993年

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布を染めること」は、結果であっても構わないが、前提にはしない制作をしようと思っていた。この頃、たくさんの作品を、紙や顔料や版というメディアで制作していた。そし て、そろそろ自身の出自である「染め」に戻ってみようかと思い始めた頃、戻る理由を探した。そうだ、模様の世界だ。「模様」は染色の得意技。テーマは「目に見えないほどの 小さい形」。空間や空気は目には見えないが、特殊な機器で観察するとチリや埃や雑菌の世界だ。ヨーゼフ・ボイスが「宇宙から降りかかるサブスタンス」という言い方をしたことも心に残った。空間に漂う、目に見えない存在を模様と捉え、空間を埋め尽くしてみようと思った。繰り返すパターンをスクリーンプリントで染めることにした。目に見えない ものを見えるようにする、これは絵を描く大きな動機である。結果として絵画的な要素と染めのマチエールが混在した表現となった。

 
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H225×W150 cm×2枚(布) 
綿布、和紙、染料、顔料、金箔/スクリーンプリント、モノタイプ、コラージュ、フロッタージュ、ドローイング、箔押しなどの混合技法 (染・清流館蔵) 
染・清流館蔵

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